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「千代?」
「あ、ママっ!」
歩く先に見えたのは、30代の女性。その時に向かって千代は走り出し、抱きついた。
「迷子ってどうしたの? 心配したのよ? 千代」
その言葉とは裏腹に、彼女はさほど心配をしてた風ではなく、落ち着いた感じで千代に話しかけた。
「えと、んとね? お鏡様が行きなさいって、えと、だからちょっと走ったらね? えと……」
うまく説明できない千代を通り越し、彼女は世莉を見た。
「……貴女がうちの子を誑かしたの?」
急に変わる目つきに、さらには謂れのない言葉に、世莉は「え?」と驚くのだが、彼女はツカツカと世莉に詰め寄った。
「この子はね、ふつうとは違うの! この世界を救うために特別な力を与えられた子なの! 神様に選ばれた子なの! この世界を導く救世主なのよっ!!」
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