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化粧っ気のない顔が、怒りに高揚している。自分の子は、母親にとっては皆特別だろう。けれど、これは異常だ。自分の子供を『救世主』だなんて……。
呆気にとられ、何も言い返せない世莉を彼女はあざ笑う。
「まあ、貴女のような普通の人間に、うちの千代をどうこうできるはずもないと思ってましたけどね。本当に身の程を知らないというか」
「……あ、あの」
激昂したかと思えば、その昂ぶりはストンと落ちる。のに、次の瞬間にはキッと世莉を睨み上げた。
「なのに千代を連れ回すなんてっ、ナタク様っ、どうしてこんな子を連れてきたんですか!? 貴方のお力でこんな娘っ」
「十和子さん、落ち着いて。彼女は千代ちゃんを保護してくださったのです。だからここにお連れしたんですよ」
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