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ナタクの言葉に、十和子と呼ばれた千代の母親は、ハッとして世莉の顔をマジマジと見た後、にっこりと笑った。
「まぁ、ごめんなさいね? そうだったの。それは本当にありがとうございます。貴女にも千代の素晴らしさが分かっていたなんて。そうならそうと言ってくださったら良かったのに」
豹変する十和子についていけず、「はぁ……」と曖昧に答える世莉に、ナタクは「コチラへ」と案内を続けた。
「あぁ、千代ちゃんはお母さんともう寝なさい」
「え? でっ、でもっ」
「そうよ、もう子供は寝る時間だわ。千代、いらっしゃい」
「世っ、世莉姉ちゃんっ!」
心配してくれる千代に「おやすみ、千代ちゃん」と笑って手を振る。その姿に千代も伸ばした手を、一度ギュッと握って、それから「おやすみなさい」と手を振った。
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