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「あ、既読?」
けれど既読マークが付いて、すぐさま通話ボタンを押そうとしたのだが、続くコメントにその指を止めた。
『お疲れ様、世莉ちゃん。電話はしないで』
どうしてだろう? と思ってる間に次のコメントが来た。
『通話って不思議でね。離れた空間すら繋いでしまうんだ。それでナタクに気取られる可能性もあるから、コメントだけね』
「……そう、なんだ」
空間が繋がる、の意味は分からないが、言われるまま世莉は通話することなく、指を動かした。
『今夜はここに泊まれるそうです。個室で鍵もかかるし、大丈夫かなって』
けれど、向こうは合鍵を持ってるかもしれない。そんな考えが浮かんで、急いで備え付けの椅子をドアの前につっかえるように置いた。
ピコーンと鳴る音に、ビクッと反応してまたスマホを手にする。
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