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妖怪、というものがイマイチ理解出来ない。
知識としては、妖怪時計や下駄の履いたオニ太郎程度だ。
確かにそういった話の中でも、人に危害を加えるのが『妖怪』だったけど……。
どう見ても、しっぽが3本あるだけの真っ白な猫をじっと見て考える。
「……それって、私がちゃんと躾けたら大丈夫、とかじゃなくて?」
こんな前向きな思考に、神威はまたまた頭を抱え、肺の中を空っぽにするほどの溜息を落とした。
「……好きにしろ」
「えと、それって飼ってもいいってこと?」
「お前が喰われても、その猫又ごとちゃんと昇華させてやる」
「……ん?」
「安心して喰われろ」
そう言い捨てて、スタスタと歩き始める神威。その背中を見つめて、世莉は笑った。
「うん、そのときはよろしくね?」
駆け寄ってそう口にする世莉に、神威は残念な目を向ける。
「阿呆が」
それでもきっと神威はなんとかしてくれる。それが分かるから、世莉は彼の隣で笑っていた。
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