第十九章 エスカレーション 四

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 佐渡は銃を持って、窓から演説していた。 「俺はさ、ここで島田と一緒に、十二人を殺した。楽しかった……それから、外で二人殺した。でも、ここで殺す程楽しくなかった」  恐怖と快楽が入り混じる状態で犯すのが、佐渡の喜びであった。 「恐怖するとさ、人の尻って締まるのよ。でも、恐怖の中で犯すと、感じまくる。もう何で高ぶっているのか、分からなくなるようでね……」  佐渡は0災ゲーム以外では、凄いなどと言われる事もなかった。世間からの敗者で、居場所も失っていた。 「ゲームでしか評価されない、アウトローな存在ならば、死んだ方がいい。俺は、善意で殺している」  佐渡は相手に喜ばれる為に、殺してきたという。 「じゃ、店員の高橋はどうだ?新婚だし、ゲームには参加していない」  西片が、どこかで叫んでいた。佐渡は銃を持っているので、姿は見せない方がいい。 「背が低くてバカにされると嘆いていたからだよ。嫁さんに、毎日、つむじを見られているってさ。可哀想だろ」   冗談で言っていただけだろう。 「相葉の同僚もそうだよ。いつも息が切れていて、歩くのも辛そうだったよ」  それは運動不足だろう。それが理由で殺されたのならば、悲し過ぎる。 「今、こいつが失神したから、次に移るよ」  次の部屋に行くと、別の悲鳴が聞こえていた。  主宰者側に潜入している一ノ瀬によると、幹部達の姿が見えていないという。スタッフだけが残って働いていて、映像で金儲けをした連中の姿が消えていた。 「ひいいいい、やめろおおお」
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