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「俺達が怪我して、埃まみれになっている姿が、そんなにおかしかったか?」
今度はボコボコという音がしていて、蹴っているようだった。
「何でも売って、金にしやがって」
売れる映像で有名になろうと、幾人もが無理をして怪我をしていった。それは、佐渡にとって、辛い事であった。長くゲームを続けられないのは、危険が多いせいだ。
「三階ならば、窓から投げ捨てても助かりますね」
「投げ捨てなくても、下にいる消防に渡せばいいでしょ」
相葉と目を合わせると、言葉よりも雄弁に語っていた。殺される前に。下に降りて助けてくるのだ。
屋上は、ヘリで降りてきた、専門家に任せよう。俺が壁を降り始めると、相葉も降りていた。しかし、窓から中に入ると、島田が待ち構えていた。
「広井さん、玉川さん、お願いします!」
俺は無理をせずに、すぐに助けを呼んでおく。そして、裸で失神している人を窓へと運んだ。
「島田!どうして、まともに鍛えられない?」
「鍛えても、使い道がないでしょう!でも、この力は人を簡単に殺せるのですよ」
広井と玉川が、島田を押さえ込もうと、技をかけていた。
「俺は無名で死ぬのは嫌だ!沢山殺して、極悪でも死刑でも、名前を残す!」
有名になりたくて、殺人をしていたのだろうか。俺が、部屋から被害者を渡すと、消防が俺の手も掴んでいた。
「君も逃げなさい」
「いいやまだ、することがあるので」
消防の手を振りほどこうとしていると、廊下で銃声が鳴っていた。
「広井さん、玉川さん!」
それでも、消防が手を離してくれないので、じたばたとしてしまった。すると、相葉が廊下を見てくれた。
「……島田が撃ち殺されている……」
島田を殺したのは佐渡で、蹴っていた男を、外に投げ捨てていた。
「これで、俺を殺したら、真実が分からなくなるよ……」
「佐渡!」
佐渡は銃口を、自分の頭に向けていた。佐渡が死体の処理方法や、廃棄場所を言わなくては、行方不明のままになってしまう人が増える。
「佐渡さん、俺はルール違反が嫌いです。減点で負けるのですか?」
東郷の声が聞こえていて、かなり焦ってしまった。まさか、銃を持っている人の前に、東郷はいるのではないのか。
「東郷!相葉!社会でも評価されて、ゲームでも評価されているお前等に、俺達の気持ちが分かるか!」
やっと消防の手を振りほどき、廊下を見ると、広井と玉川が佐渡に攻撃をした所であった。
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