第十九章 エスカレーション 四

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 死保の部屋で、倉田のノートを見ると、相葉も東郷も無事に家に戻っていた。  佐渡は誇らしげに、全ての殺人を自供して、次々に遺骨が見つかっていた。三浦と広末の遺体も回収され、合同葬儀になったらしい。 「図師さんは、成仏できなかったのでしょうか?」  まだ図師は帰っていていない。すると、図師は西片のアパートにいた。倉田のノートを読んでいると、図師からの伝言があった。 『市来、俺の後継者が決まっているから、ここで成仏してもいいと、死保から言われたよ……市来、楽しかった、ありがとう』  俺は嬉しい筈なのに、涙が落ちてしまった。図師の成仏を、自分の目で見届けたかった。図師は、西片の部屋で、毛布に包まって一人で成仏していった。 「図師は、最高の恋人が欲しいというのも、願いだったのさ。幸せだったと思うよ」  時任は、婦人警官を口説き、寝てから死保に帰ってきた。興梠は競馬をしていて、甲斐は織田と別れを惜しんでいた。  今回、合併したが、他のメンバーは別の場所に帰るらしい。 「さよなら、図師。俺もお礼を伝えたかったよ……」  俺は、小型化すると倉田のポケットに入った。 『0災ゲーム』終
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