シンポニー序曲

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▲▲▲ あれ……どうして僕、線路上にいるの? 学校の帰宅時、 押されただろうことに線路の正に真ん中に僕は座っていた。 東京に来てから経験したことだが帰宅ラッシュに巻き込まれたせいで、人は駅に敷き詰められていた。 多分誰かに後ろから押されて落ちたのだろう。 頭上からは「早く立て」だの「なにしてんだ」 だの罵声に近い声がとんでくるがそもそも君たちのちせじゃないか。 まぁいくらでも言われたってかまわない。 足をくじいたのか、骨が折れたのかわからないが、 足が苦痛にさいなまれ、動くことなどとてもじゃないができない。 まもなく電車がくる。 どうせ誰も助けてくれないならこのままの方がいい。 寝転ぶと罵声はさらにシンクロし僕の耳を襲った。 最後の時くらい安らかに眠らせてほしい。 線路がガタンゴトンとリズムを弾きだしたのと同時に目を閉じた。 目を閉じているのに光が視界を覆ったことに疑問を感じながらも、意識が最後の旋律を終わらせた。 ▲▲▲ 「早く起きてくださいーーーー………」 困惑と戸惑い、せかしの意味を込められた声の主に肩を揺すられるが 僕はもう死んだので静かにしてほしい。 全く。 「早くーーー………」 さらに揺すりを強められ無視できないレベルになってきてしまった。 そろそろ起きたほうがいいかな? 「えっちょっと…」 「ん……」 まぶたを閉じたままだったので正体不明だが 非常に柔らかく気持ちの良い何かが唇に当たった。 目を開けると女の子の顔がわずか0.5センチメートルくらいさきに……… 「うわーーー」「キャーーー」 見事にシンクロした驚きの叫び。 わずか数秒前に起こったキス。 目の前に経たり混んでしまっている少女の ロイヤルブルーの髪とシルクのドレスから察するに 天使か何か。 つまり僕のファーストキスは天国で…… ということだ。
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