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雨の日も雪の日も。たとえ台風の最中でも。
そう、熱心とか習慣といった域を通りこし執拗と思えるほど。
「何歳頃だったか。他の家ではそんなこと、していないでしょ。だから親に聞いてみたんです。どうして、こんなことをするのかと? そうしたら」
答えたのが父親か母親か。記憶が定かではないが。真顔で、こう答えたそうだ。
『これはね。やらなくちゃいけないんだ。
そのうち、〇〇(岡田さんの名前だ)にも分かる。やめたらダメだ。ダメなんだ・・・』
「妙な言い方でしょ? たんに縁起かつぎなら相手は子供。神様が守ってくれるとか、イイことがあるとか。言い方は色々あるでしょうに。
実際、盛り塩って運気を呼び込むために、やっているところが大部分だと思うんですが」
その両親が、半年ほど前に事故で二人とも亡くなった。
葬儀。各方面への連絡。相続の手続き。エトセトラ。
悲しみ以上に、岡田さんには疲労困憊する半年間であったようだ。
そして。
「気がついたら、『アレ』が始まっていたんです」
アレ?
一人っ子で両親の家に、社会人になった後も同居していた岡田さんであった。
両親の死後は、たった一人で一戸建てに住むことになったわけだが。
「葬儀がすんで三カ月ほど経った頃。夜中に尿意を覚えて、二階の自室から夜中に階下へ降りてきた。そうしたら」
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