第1章 物語のはじまり

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緑の国を守ってきた狼たちへのひどい仕打ち。 その話を聞いた僕が、 「父はきっと狼が嫌いなのでしょう。」というと、 「それは、違う。」と言って、僕に昔の話を聞かせてくれたのだ。 昔、緑の王が幼かった頃、とても仲良くしている狼がいたのだそうだ。 城の内部に部外者を入れることなど、めったに許されることなどないのに、 生まれた頃も同じ時期というのもあったのだろうか? 周囲もそれを許し、受け入れていた。 親の狼も雰囲気を理解し、幼い狼を連れ、城を何度も訪ねてきていたようだ。 幼い頃から婚約者だった母も、城に出入りしていたため、その光景を何度となく見ていたという。 「そんなことがあったんですね。  てっきり僕は、父上が狼を嫌っているのかと思っていました。」と母にいうと、 母は、まっすぐ前を向き、まるでそこに王の狼が見えているように話している。 「もう今は、とても成長し立派な狼になっているわね。」という。 大地の国の狼はとても大きく成長すると2m近くになるものやそれ以上のものもいる。 色は、綺麗な銀色か黒だ。中でも銀色の狼は、とても珍しい。 「あんなに綺麗な銀色の狼見たことがないわ。」と 母は、言ったのだ。 この国では、銀色の狼は珍しい。 森や街の中でもとても目立つ存在だ。     
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