0人が本棚に入れています
本棚に追加
第2章 緑の森
噂では、緑の国王は、その狼を森深いところに住まわせているという。
以前、こっそり城を抜け出した王を、僕は跡をつけたことがあった。
誰も知らない狼の場所を知るには、その方法しかない。
王を追っていったあの日。
残念なことに、その時は王を森の途中で見失ってしまったけれど。
その後すぐに僕は、王の跡を追うのを諦め、暗くなる森を抜け出し、城へと戻った。
それから、王が城へ戻ったのは、そんなに遅くはなかった。
王の大切な銀色の狼。
きっと近かったのだ。
あと少しで王の秘密に届いたかと思うと、
僕は、悔しさでいっぱいになったが、
それよりも、王の秘密に近づいたことに高揚感を覚え、
次は一人で森へと向かう決意をし、その日1日を終えた。
あれから、森へ向かうチャンスは、意外に早くやってきた。
今、僕は、あの日の王の跡を追う。
長い間、閉ざされた森。
薄暗く、光が届いていない。
足元に気をつけながら、ゆっくりと進んで行く。
見ると、薄暗い中にも光のさす場所があった。
そこには、大きな獣の足跡があり、森の奥まで続いている。
まるで、僕を案内しているかのように・・・。
最初のコメントを投稿しよう!