0人が本棚に入れています
本棚に追加
第1章 物語のはじまり
この星は、三つの国からなる星。
火の国、水の国、大地の国が治めている。
その中でも、大地の国はこの星のほとんど全てのものに影響を及ぼす国。
そのため火の国、水の国は、大地の国に寄り添い、従っていた。
この物語は、その三つの国の中の一つ、大地の国を司る、緑の王の若い頃の話である。
大地の国の森には、かつてたくさんの狼が住んでいた。
この国では、狼は守り神。
大地の国の民たちは、代々この国の狼たちを大切にしてきた。
そんな民たちの思いをくんだ狼たちは、他国からの敵の侵入者を防ぐという形で、民たちの村を守り、協力し、共存してきたのだ。
その狼たちの住処は、民たちの近くにある豊かな森の中、恵まれた環境で穏やかに暮らしていた。
ある年の夏、何日も雨が降らず、作物もできない時期が続いていた。
餌不足で村まで降りてきた狼たちは、お腹が減り、畑を荒らすようになる。
そんな中、僕の父である緑の国王は、民から嫌がられるようになった狼たちを国の一番端に
ある、深い森に追いやったのだ。
それは、民たちの意思を汲んだ緑の王の、僕の父の指示だった。
僕は、まだ幼かったので、その話は、父からではなく母から聞いていた。
最初のコメントを投稿しよう!