第1章 物語のはじまり

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第1章 物語のはじまり

この星は、三つの国からなる星。 火の国、水の国、大地の国が治めている。 その中でも、大地の国はこの星のほとんど全てのものに影響を及ぼす国。 そのため火の国、水の国は、大地の国に寄り添い、従っていた。 この物語は、その三つの国の中の一つ、大地の国を司る、緑の王の若い頃の話である。 大地の国の森には、かつてたくさんの狼が住んでいた。 この国では、狼は守り神。 大地の国の民たちは、代々この国の狼たちを大切にしてきた。 そんな民たちの思いをくんだ狼たちは、他国からの敵の侵入者を防ぐという形で、民たちの村を守り、協力し、共存してきたのだ。 その狼たちの住処は、民たちの近くにある豊かな森の中、恵まれた環境で穏やかに暮らしていた。 ある年の夏、何日も雨が降らず、作物もできない時期が続いていた。 餌不足で村まで降りてきた狼たちは、お腹が減り、畑を荒らすようになる。 そんな中、僕の父である緑の国王は、民から嫌がられるようになった狼たちを国の一番端に ある、深い森に追いやったのだ。 それは、民たちの意思を汲んだ緑の王の、僕の父の指示だった。 僕は、まだ幼かったので、その話は、父からではなく母から聞いていた。     
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