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「あの三つ眼さん、どうしてそんなおっかないものを……」
「人間と知られない方が色々と都合が良さそうですよ」
「つまり、妖見習いということだな、瑠璃」
自己紹介をしたところ、嬉しそうに名前を読んでくれる天月くんに、心の中がほっこりとした。
子狐の姿から、今は少年の姿へと変化しており、彼は銀髪とアメジストのような瞳が印象的な少年の姿をしていた。外見は七歳くらいの子どもなのに、理知的な瞳がそれよりももっと年上に見せている。意思の強そうな目と、子ども特有の柔らかそうな頬。可愛らしいと言われる外見をしているのに、どこか毅然とした立ち振る舞いはまるで一国の主のようだ。
「そら、被って見せろ」
「う、うん」
そっと生成りの面を被りながら、髪をポニーテールにまとめた。
なんだかよくわからない悪寒が襲ってきたような気がしたけれど、気の所為と信じたい!
「似合うじゃないか」
「妖らしくなりましたね。ちなみに、その面ですが、顔を隠さなくても身に付けているだけで効果はありますので」
この洋館は、妖しかいないというのに、その中で人間である私が働いても良いのだろうか。
「貴女には現世について教えて頂くつもりです。人間の世界のことは人間の方が詳しいでしょうから」
また、読まれた!!サトリという妖怪の持つ能力に感心していると、三つ眼さんは面白そうに笑った。
「心を読まれても怖がらない人間は、やはり良いですね。悪用されるのではないかとか不安になるのが普通なのに。初めから不思議でした」
「だって、貴女からは敵意を感じないし……きっと悪いことにはならない気がするので」
きっと悪用はしないと思うのだ。それより、三つ眼さん、何か笑ってる?
「おお、珍しい。あの三つ眼が笑うとは」
「失礼しました。少々驚いたものですから。そのようなお言葉をもらえるとは」
「ん?」
なんだか嬉しそうにも見える。
「それでは、瑠璃さん。貴女はとりあえずこの服に着替えてください」
「ん?和風メイド?」
和服にエプロンとカチューシャという組み合わせは、ちぐはぐながらもどこかマッチしていて。和服に着替えるのは少し慣れていなかったけれど、どうにか着付けた。お面を付けると本当に妖怪になったような気がする。
それにしてもこの制服。
「か、可愛い」
「侍女の制服は、雪洞という者が考案したのだ」
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