1章 遭遇

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案内された部屋は、こじんまりとしつつも清潔な部屋で、やはり古びていたけれどアンティーク小物がたくさんあって、どこかのカフェのような落ち着いた雰囲気だった。 「紅茶で良いですか?」 妖怪だよね?なんか、お洒落なお茶会みたいな雰囲気でちょっとたまげる。 「イギリスのミルクがありますけど、それでよろしいですか?」 ここ日本だよね?! 西洋の赤いお茶に注ぎ込まれるミルクが染み渡るのを眺めていれば、イチジクさんも紅茶をスプーンでかき混ぜる。 「天月様は高名な狐の妖なんです。それは俺なんかとは比べようもないくらいなんですが、高名な妖であるということは辺り一帯の妖を治める役割を担うということにもなります」 「もしかして、天月様のお手伝いをするということですか?」 天月くん、なんて、気安く呼ばない方が良さそうな気がした。 「平たく言ってしまえばそういう訳です。皆出払っているのは、今回の事件はいつにもまして大きく広がっているからなんですが。物騒ですからね……。だから屋敷の中のことをお教えする前に外に出る方が早いかもしれません。説明するより早いので」 「どういう調べ方をしてるんですか?」 それは、私でも出来るのかな?     
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