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「貴方は何でも知ってるつもりでも、実質はここに引き篭もっていた存在よ。外からの記憶を分身と共有していたかもしれないけれど、それは夢と同じ。そんな妖に効きやすいのはね、」
雪洞さんに纏う妖気が濃くなった。幾重にも折り重ねた幻想のごとく、彼女の姿はゆらりと揺れた。
この場の空間を支配せんとする妖力が膨れ上がった。
「ただの妖にこの俺がやられる訳がないだろう?」
にやりと笑う悠也。彼はどれほど己の力を高めてきたのだろう。雪洞さんの妖力はいとも簡単に吹き飛ばされ、異質な妖力が部屋を満たす。
「雪洞さん、彼には効きません。彼はここに繋がれていても大きな力を行使する存在です」
「でしょうね」
雪洞さんは私に向き直ると、一枚の紙と十円玉を渡してきた。
この紙は。
「ウィジャ盤?」
「本当はこっくりさんをしなければいけないのだけれど、今回は省略してしまいなさい。こるり、天月様を呼ぶのよ」
「え?」
狐とは言えど、これはこっくりさんを呼ぶもので……。
「いいから、やってみなさい」
「は、はい!」
ウィジャ盤。これはただの紙だ。そんなものをどうやって利用するのか。こっくりさんはそもそも占いの一種。
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