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やがて、ゆっくりと動き出した十円玉は、私にこう伝えていた。
「い、ま、い、く……?」
ずんっと身体に何かがのしかかってくる重み。周りを見渡しても何も見えないし、感じないのに、何かが私に憑いた感触。
私の中に、何かがいる?何がいる?
「あ……あ、ああ」
「すまないな。瑠璃」
「あ……あ、ああああああ!!」
身の内から全て自分の身体が、細胞の一つ一つが全く違うものに変換させられていく。
痛い。身体中が痛い。
「こっくりさんというのは一人ではやってはいけないんだ。どうなるか分かった上で僕は雪洞に真実を告げずに伝言した」
「あ、天月様?」
「瑠璃が変わってしまうことよりも居なくなってしまうことの方が僕は恐ろしかった。エゴなのは、分かっている。そして。瑠璃が死ぬつもりだということも」
ぶわり、と天月様の小さな身体が青年の姿へと変貌していることに驚く。
「都市伝説を利用して妖力を高め、分身を急成長させようという考え方は斬新だったな」
銀色の髪が背中まで伸びている。さらりと揺れるその毛にしばし見蕩れる。
「お前、誰だ?」
訝しそうな悠也は天月様をじろりと睨んだ。
「誰だって?僕は、本物の、こっくりさんだ」
「ま、まさか……」
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