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こんなことが出来たのは私が負けず嫌いだからだと思う。
長い口付けを終えて、そっと顔を離した頃には、再び彼の顔が見られなくなって。
「甘えん坊さんですね」
「……」
彼の胸元に顔を押し付けたまま、ただ抱き締められるのに身を任せていた。
「あの、イチジクさん。私の身体にあった瘴気、持っていってくれたの……大丈夫なんですか?」
「ああ、心配いりませんよ。俺の炎で燃やしました」
「へ?」
「俺も初めて知ったんですが、俺の燃えない炎は瘴気などを浄化するようです。火とはそういった意味合いもあることですし」
「良かった……」
「そうそう。俺を庇ってああいうことは二度としないでくださいね」
ぎゅっと抱き締める腕の力が強くなる。震えているのを感じて、彼の顔を見ようとしたけれど、押さえられて見せてくれなかった。
「……?」
「俺、今まともな顔をしていないので、見ないでください」
「え、でも……」
「この機会に色々言おうと思います」
「え?あ、はい」
有無を言わさぬ感じで、どきりとした。
「貴女を愛しています。この腕から逃げないということは期待してと良いと受け取ります。それを前提として伝えます……」
「は、はい」
拘束が強くなっているような?まるで逃がしはしないと言われているようで。
「瑠璃さん。俺と番になってください」
その言葉に私は。
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