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チラリと見上げたら目的地らしいケーキ屋の可愛らしいクッキーの看板が目に入った。
「あ、もしかしてここですか、狐村さん」
「っは…!はい、そうです!」
我に返ったらしい。
「とりあえず、ケーキ楽しみです!」
「はい、ここの苺タルトが美味しいんですよ」
「じゃあ、私もそれにします」
ちなみにスイーツはとてつもなく美味しかった。苺のクリームの甘味と酸味が見事に調和していて、ほっぺたが落ちそうなくらい。
「美味しい!」
今日、生きてて良かった!
「そんなに喜んでくれたのなら、連れて来た甲斐があったというものです」
ぺろりと唇を舐めながら、目を細めるイチジクさん。
この人、何をしてても様になるなあ。紅い舌がちらりと見える度にドキリとする。
それにしても、この人何で私を追いかけて来たのだろうか。
内心首を傾げていると、隣の席から噂話がポツリポツリと聞こえる。
「ねえ、知ってる。これは都市伝説なんだけど」
聞こえてきた噂話はとりとめのない内容だった。
「こっくりさんが巷で流行ってるでしょ?そのこっくりさんなんだけどね。どんな確率かは知らないけど、本当に守護霊を召喚することもあるって」
「さすがに嘘でしょー」
「え、でも史学科の子は恨みを晴らすことが出来たとか」
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