1章 遭遇

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チラリと見上げたら目的地らしいケーキ屋の可愛らしいクッキーの看板が目に入った。 「あ、もしかしてここですか、狐村さん」 「っは…!はい、そうです!」 我に返ったらしい。 「とりあえず、ケーキ楽しみです!」 「はい、ここの苺タルトが美味しいんですよ」 「じゃあ、私もそれにします」 ちなみにスイーツはとてつもなく美味しかった。苺のクリームの甘味と酸味が見事に調和していて、ほっぺたが落ちそうなくらい。 「美味しい!」 今日、生きてて良かった! 「そんなに喜んでくれたのなら、連れて来た甲斐があったというものです」 ぺろりと唇を舐めながら、目を細めるイチジクさん。 この人、何をしてても様になるなあ。紅い舌がちらりと見える度にドキリとする。 それにしても、この人何で私を追いかけて来たのだろうか。 内心首を傾げていると、隣の席から噂話がポツリポツリと聞こえる。 「ねえ、知ってる。これは都市伝説なんだけど」 聞こえてきた噂話はとりとめのない内容だった。 「こっくりさんが巷で流行ってるでしょ?そのこっくりさんなんだけどね。どんな確率かは知らないけど、本当に守護霊を召喚することもあるって」 「さすがに嘘でしょー」 「え、でも史学科の子は恨みを晴らすことが出来たとか」
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