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次の火のことだ。
和服にエプロンを重ね着して、ヘッドドレスを装着して、「よし!」と気合を入れる。
今日から本格的に仕事をする。使用人生活一日目だ。
朝の早い時間に収集がかかっているため、少し早起きをしすぎたかもしれない。
「イチジクさんが教えてくれるんだよね……」
大丈夫だろうか。私、上手くやれるかな……。
というかこの大きな屋敷の割に人が少ない気がするのは、気のせいだろうか。
ガチャ、と部屋のドアを開けたところで、壁に寄りかかる青年の姿が目に入った。
「あ……」
「おはようございます」
少し眠そうに髪の毛をくしゃりとかきあげるイチジクさん。もしかして低血圧なのだろうか。
「すみません、朝は苦手で。こるりさん、朝平気なんですね」
「ああ、まあ割と」
気怠げにしているところも様になっていて、これだから美形は。
「それでは、朝食の場所をお教えしますね。使用人の休憩室のキッチンで簡単に朝食を作ってますね。といっても使用人の数は極僅かなんですが」
どうやら使用人の数をぐっと減らしたのは天月様の意向だとか。
「料理長が一人。使用人は俺を含めて三人でした」
すくなっ。
「そうだったんですね……。あの、この広い屋敷の管理って大変じゃないですか?」
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