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「手始めに紅茶の入れ方とコーヒーの入れ方を教えてください」
「そんなの朝飯前だわ。むしろそんなことも出来ないの?」
「………」
口調はキツイが、口元が緩んでいる。顔と口調が一致してないよ、雪洞さん。
「まあ、この私が教えてあげるんだから、真面目にしなさいよね?」
「はい」
雪洞さん、可愛いかも。目を逸らしているけれど、教えてくれるのは確からしいし。
「あ、とりあえず取りに行かなきゃですね」
「私が行くんだからバケツの水も二つくらい持っていくわよ」
「二つも持てるんです?!」
すごい。力持ち!
「これくらい朝飯前よ?私を誰だと思っているの?」
「えっと、雪洞さん……」
なんだかとても嬉しそうだからそのまま放置していたら。
「えっと、お二人とも、これは一体どういう状況ですか?」
唖然とした表情に迎えられた。
「私の本気を見せるつもりがこんなことになってしまいました」
てへ、と彼女は舌を見せる。こういう仕草が様になっているんだけど、本性見ちゃうと少し面白い。
雪洞さんの両手にバケツ。そしてなんと頭の上にもバケツ。
大道芸人か!!というツッコミはしないで置く。思っていたよりも面白そうな人だ。
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