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「まあ、とにかくたくさん持ってきて頂いて助かりました。箒もありがとうございます。それじゃあ部屋の掃除ですが、俺は東側から行きますので、雪洞さんは反対側からお願いします。こるりさんは……」
なんとなく二人きりになりたくないイチジクさんと、清々しい雪洞さん。私の選択は決まっていた。イチジクさんに失礼にならないように、素直に雪洞さんと仲良くなりたいのだという思いを込めて。
「じゃあ、私も雪洞さんと一緒に!」
「え」
と、予想外の事態だと言わんばかりに目を丸くしたのは雪洞さんではなかった。
「えーっと、こるりさんはそれで良いんですか?」
戸惑ったような声に罪悪感が湧き上がる。この人のことは嫌いではないから、そんな顔されると私も申し訳なくなってくる。
なんだか心なしか微妙な顔をしているというか、少し寂しげというか。
直属の部下が同僚に懐いた微妙な気分というやつだろうか?なんかごめんなさい!!
「一応、俺はこるりさんの教育係なので……」
「それを言うなら私はこの子の先輩ですから!」
「貴女が女性を気にかけるのも珍しいですね?」
「うふふ、そうですか?」
なんだろう。この二人仲悪いのかな。背筋が冷えてくるこの感覚。イチジクさんは物腰柔らかい。雪洞さんはいつも通りの猫かぶり。なのに何か違う。
結局のところ三人で一つずつ部屋を掃除をすることになった。
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