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入口の近くに設置してあったシックな箪笥の中は整然と様々なものが収められており、目に入るだけでも多い。双六、麻雀、花札、将棋盤、チェス盤、かるた、タロットカード、そして、奥に入っていたトランプ。
「ババ抜きでもしましょう」
何故にババ抜き。二人でやるババ抜きは、主に最後しか勝負っぽいことをしない気がする。ジョーカーを抜くか抜かないかそれ一点。じゃあ、ジジ抜きをすれば良いとは思うが、合わない数字があったら、それがジジなのでババ抜きとさほど変わらない。
他に何かもっとあっただろうと思うのに、何故かそれを持ちかけてくるのは何か理由があるのか。
トランプで遊んだことのない人なのかとも思うけれど、そういう訳でもなさそうだ。カードを切る手はどこか手慣れていて、パサパサと音を立てながら混ぜていく。
二つに分けられたカードの山が二つ。
「どちらか選んでください」
「じゃあ、こっちで」
本当にやるのか。
合わさった数字を無言で捨てていきながら、チラリと目で伺うと、爽やかな微笑みが返された。
何を考えているのか分からない。
「ところで、昼間の……雪洞さんとは大丈夫でしたか?」
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