0人が本棚に入れています
本棚に追加
その努力も実り、共同体での生活も安定しようとしている時だった。私は資源を集めるために、共同体から徒歩で半日分離れた場所にいた。そしてそこで傷だらけの男を見つけた。その男の近くには、胸に刃物が刺さって動かない別の男が横たえていた。彼はおそらくもう死んでいる。気配を感じたのか傷だらけの男は目を覚ますと飛び起きた。傷を押さえて私を見ている。状況からして、本来ならこの傷だらけの男こそが被害者であったのだろう。ここにある刃物は胸に刺さっているものだけで、他には見当たらなかったし、死んでいる男に傷はなく、ただ胸を一突きされている。痛みで顔をしかめる男に私は言った。
「ついてないな」
すると男も言った。
「ああ、ついてない」
男は立ち上がったが、右足の傷は特に深いらしい。右手を壁に付けて、左足とその手で身体を支えていた。
「看病しようなんて思ってくれなくていい」
男は皮肉でそう言い放ったが、明らかにこの男は誰かの助けが必要だった。私はまず、この男に水を飲ませてやることにした。そして結局数日間はそこで目を離さず看病していた。
最初のコメントを投稿しよう!