第五十六段階 尾田の恋愛オプション

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第五十六段階 尾田の恋愛オプション

デパートの福袋競争の出足は、好調だった。開店と同時になだれ込んできた客は色んな店で福袋をいくつも手にしていく。mareの福袋も午前中で完売する事が出来た。有名なブランドは、ものの数分で売り切っていたから敵わない。あとは、全ての店の完売した時間の結果順位が出るのを待つのみだ。この分でいくとなんとかテナントに入れそうだった。とはいえ、未だに飲みすぎたせいかウコンも全く効果無しの状態で頭痛が消えてくれてなかった。 従業員専用の休憩室で 「はああ」盛大なため息をついた尾田。 「凄いため息ですね。どうかしましたか?」紙コップを二つ手にしてやってきたmareの販売課の鷺沼 花音。 花音は、尾田より一年後に入ってきた社員だ。小動物系の女子で愛嬌がある。 「ため息ついてたかあ? 俺」尾田は、苦笑いしながらこめかみを押さえた。 「どうぞ。お疲れ様です。完売できて良かったですよねー」紙コップを尾田の前に置いて向かい側に座る花音。 「あー、珈琲か? 悪いけど、今頭が痛くて飲めねえ」椅子に深く腰をかけたままの尾田に花音は笑った。 「やだなー。尾田さん。お茶ですよ。あったかくてさっぱりしますよ」     
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