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「そうだなー、お前飲めるか?」
テーブルに身を乗り出してくる尾田。
「はい。飲めます」すっぱりと答える花音。
「ふーん。じゃあ、今日俺の失恋パーティーやるんだけど、行くかあ?」
「行きます」
「二人きりでも?」
「え? 二人きりでパーティーですか?」花音が驚いて目を見開く。
「そ、知ってるか? 鷺沼」自分の方に手招きする尾田。花音が少し近づいて来る。
「恋愛ってのは、段階を踏むんだ。まずお互いを知る。食う、飲む、遊ぶ。手を繋ぐってな具合だ」
テーブルの上で顔を寄せ合う二人。真剣に語る尾田の顔をまじまじと見つめる花音。
「よくわかりませんけど。あの段階を踏めばいいってもんでもないと思います!」
「はああ? なんだと、お前なー」言いかけた尾田の頬に花音の顔が近づいてきて、柔らかいものが少し触れた。
顔を離す花音。また、林檎みたいな顔色になってお茶を何事も無かったようにすすっている。尾田は、柔らかいものが触れた頬を花音を呆気にとられて見たまま掌で触った。
「恋愛っていろんな形があるし、始まり方があると思うんですよね。私。違いますか?」
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