虫とり

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 この早朝虫取の言い出しっぺはシバさんで、行くときには大抵彼から声がかかった。    だから私から言いだしたとき、三人とも変な顔をした。  しかし、彼らも虫取は好きだし、何より夜中に子供だけで出歩くのはワクワクする。直ぐにOKしてくれた。  その日の虫取は特別に思えた。  草木も眠る丑三つ刻、一人で家をでると外の闇に圧倒された。  その日は曇っていて星一つ見えず真っ暗だった。  正直、怯えながら懐中電灯を頼りに集合場所に向かった。  それからはいつも通り、初めに森に行って虫を探す。  だが、目的のカブトムシやクワガタは見つからず、散々蚊に喰われた。  あげくの果てに、カブトムシを捕まえたと持ったら、そいつはゴキブリだった。  全員大爆笑だ、森の中に子供たちの笑い声が響く。  シバさんが場所を変えようと言いだし、公園へ移動した。  すでに空は白み始めている。どんよりと曇っているが、それでも夏の夜明けは早い。  移動の間ですら彼らと一緒だと、とても楽しかった。  公園でも成果上げられず、みんな遊具で遊び始めた。  雲(うん》(てい)や登り棒、そしてターザン。たわいもないが、私はいつも以上にはしゃいでいたと思う。 「ラジオ体操が始まるから、オレ帰るわ」  キッチョが腕時計を見て言った。 「おれも!」     
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