記憶の、上書き。

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「俺は、お前が好きだ」  唇が触れる瞬間は、いつでも胸が締め付けられる。  池山は眉を僅かに寄せた。 「お前の味のある顔が好きだ、この無駄にでかい身体も凄く好きだ、匂いを嗅いでいないと、不安になる事もある」  江口が海外への長期出張で不在だった時は、会いたくて会いたくて彼の部屋で過ごさずにはいられなかった。 「好きで、好きで、時々、どうしたらいいかわからないくらい、好きだ」  軽くついばみ、角度を変えて合わせているうちに互いに口を開き、すぐに舌を交わらせる。 「お前を知った今、どうして他のヤツとこんなコトしたくなると思うんだよ」  夢中になって唾液と吐息を交わし合ううちに池山の足下はふらつき、江口が両手を背中に回して抱き留めた。  胸の鼓動が互いの身体の中に響き合う。  互いに肩で息をしながら唇を解き、池山は江口の両手を自分の双丘へ導いた。  江口の大きな手が膨らみをもみしだく。  鼻が触れ合うほどの距離で見つめ合いながら、固くなった前をあわせ、ゆっくりと左右に動かす。 「・・・来いよ」  かすれた声で囁くと、深く息をつきながら、江口が指を最奧の蕾へと滑らせた。 「かずきさん・・・」  左右の指が潜り込み、襞を探っていくの感じる。 「俺のココ、こんなにしたの、誰、だよ・・・」  唇をわななかせながら、ぺろりと江口の唇を舐めた。  こすり合う互いの雄が脈打ち、亀頭から粘液がにじみ出し、それが更に快感を呼ぶ。  ゆるゆると潜ってくる江口の指先が、池山の一番感じるところを撫でた。  本来、排泄しか知らなかったはずの気管は、今や江口を受け入れる度に喜びに震えている。 「・・・すみません、俺です」  江口の雄芯の先が入り口のあたりを軽く突く。 「んっ・・・。責任とれよ、この馬鹿・・・」  喘ぎながら、やっとの事で悪態をつくと、両足を割り開かれ、いきなり抱え上げられてしまった。 「わ・・・。ちょっ・・・」  タイルに背中を押しつけられ、不安定な体勢に思わず肩にしがみつく。 「和基さん、かずきさん・・・・」  湯気が上がらんばかりに高揚した厚い胸板と冷たいタイルに挟まれて、喘いだ。 「好きです。好きです、好きです・・・・」  唇を、むさぼられる。
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