第三話 裏の池

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第三話 裏の池

 ○○の主というような話しを聞いた事はないだろうか? 実家近くの池には主が居ると前置きしてから園田さんが教えてくれた話しだ。  園田さんは現在は都内でOLをしているが大学までは東北地方にある実家で両親と一緒に住んでいた。その実家の裏には大きな池がある。  裏と言っても家は高台に建てられているので池は6メートルほど下になる。実家の2階の部屋から池を見渡す事が出来るのだという、園田さんも2階の自室から池を見るのが好きだった。  池には大きな鯉が居る。2メートル近い巨鯉で昔から池の主と呼ばれて近所の人はみんな知っていた。  巨鯉は朝と夕、天気の良い日は必ず水面に浮んできて優雅に泳いでいた。ヒレを動かしてゆっくりと前後に泳ぐ姿は見ているだけで気持ち良さそうで園田さんも暇があれば眺めていた。  園田が高校生の頃だ。  ある日、池が騒がしいので2階の窓から見ると釣りをしに来たらしい中学生くらいの少年4人組が大騒ぎをしていた。どうやら巨鯉を見たらしい、それでどうにかして釣ろうとしている様子だ。 「無理無理、釣れるわけないよ、あんたらより余程頭が良いからね」     
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