第三話 裏の池

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 煩いなと思いながらも園田は放って置いた。余所から来た中学生と揉めるなど面倒な事は御免である。  4人組は夕暮れまで騒いでいたが諦めたのかいつの間にか静かになっていた。  次の日から中学生らしき少年4人組は毎日来るようになる。  近所の人が池の主なので悪さをすれば罰が当たると注意したが4人組はお構い無しだ。 「本当に罰が当たればいいのに…… 」  どうにかして巨鯉を捕らえようと騒いでいる4人組を園田は呆れて見ていた。  3日ほど経った夕方、普段にも況して声を張り上げるような騒ぎに園田が2階から覗くと4人組の直ぐ前に巨鯉が浮んでいた。  4人組の内の2人が必死に竿を握っている。どうやら巨鯉に針を引っ掛けた様子だ。  彼らは餌を付けて魚に咥えさせて釣る釣り針と違い魚体に引っ掛けて釣る通称ギャング針と呼ばれる3つの大きな釣り針を背中合わせにくっつけたような形をしているトリプルフックを使っている。 「おいおい何やってんだよ、池の主にそんな事したら近所のおっさんにどやされるぞ」  心配そうに言いながらも園田は窓の傍に椅子を持ってくると座って見物を決め込んだ。  旨く引っ掛かっているらしく普段はゆっくりと浮んでいるだけの巨鯉がバシャバシャと大暴れしていた。     
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