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「おい、もっと引っ掛けろ、竿はいい、糸と針だけでもっと引っ掛けてやれ」
4人組のリーダーらしい青い服を着た少年が残りの3人に命令しているのが聞こえてきた。
「石を投げて弱らせろ! もっとデカい石を持ってこい」
事もあろうか青い服を着た少年は巨鯉に向かって石を投げ始めた。
「あの青い服着た奴がボスだな、罰当たりめ」
園田が険しい顔で呟いた。巨鯉に石がぼんぼん当たるのが2階の窓から見ていてもわかる。
「弱ってるぞ、早く引っ掛けろ、尻尾だ。尻尾を狙え」
リーダーらしき青い服を着た少年が怒鳴りながら命令する。残りの3人も興奮した様子で針の付いた糸を必死で放り投げていた。
騒いでいたのは5分くらいだろうか、巨鯉は水面を叩き着けるように大きくジャンプすると悠々と消えていった。
「あっ、逃げられた! 」
窓から見ていた園田も安心半分、期待外れ半分といった様子で呆れ声が出た。
あれほど騒いでいたリーダーらしき青い服を着た少年の怒鳴り声も聞こえなくなる。
「コーヒーでも飲もうっと♪ 」
園田は椅子を勉強机に戻すと部屋を出て行った。
暫くしてコーヒーを持って部屋に戻ってくるとまた騒ぐ声が聞こえてきた。
「まだやってるのかぁ……諦め悪いなぁ~~ 」
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