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呆れ顔で窓から覗くと中学生らしき3人が騒いでいた。鯉に石を投げていたリーダーらしき青い服の少年は帰ったのか姿が見えない。
「残りのバカもさっさと帰ればいいのに」
園田が呆れて見ていると3人組の前に何かが浮んできた。
「鯉が上がってきたぞ! 」
3人組の誰かが叫んだ。同時に巨鯉に向かって竿を振り始める。大きなトリプルフックを使って釣り上げるつもりだ。
騒ぐ3人組を余所に園田はおかしな事に気が付いた。
「青色だ? 」
巨鯉は野鯉で黒いはずだ。それがどういうわけか青っぽく見える。
「何だあれ? 」
園田が目を凝らすと鯉ではなかった。
「おい、ちょっと…… 」
思わず口から出た。人間だ。浮んでいるのは鯉ではなく青い服を着た人間に見えた。
3人組は気付いていないのか騒ぎながら竿を振っている。
「ちょっ、待てよ…… 」
園田は窓から身を乗り出すようにして確認した。間違いない、青い服を着た人間だ。
「さっきのリーダーだ。偉そうに命令してた奴だ……ヤバいヤバい」
園田が窓から大声を出した。
「あんたら何やってんの! 早く助けなさいよ、友達でしょ」
園田の声が聞こえたのか3人が振り返る。
「はぁ? 何言ってんだ」
「これは俺たちの鯉だからな」
「文句あるならこっちまで来いよ」
3人組は邪魔をするなとばかりに怒鳴り返してきた。
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