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園田も負けじと大声を出す。
「何が鯉よ! 人じゃない、溺れてるのあんたらの友達でしょ!! 」
池を指差しながら園田が必死で何度も訴える。
「うわぁーっ! 智則! 」
ようやく気付いたらしい、3人組が悲鳴を上げた。
池に浮ぶ自分たちの友人に必死で針を投げていたのだ。
騒ぎを聞いたのか近所の大人たちが出てくる。池に浮ぶ少年を見て誰かが通報した。
他の大人たちが少年を引き上げる。園田は2階の窓から見ていたが青い服を着た少年はぴくりとも動かない。
直ぐに救急車がやって来て少年は運ばれていき残った3人は警察に連れられていった。
青い服を着た少年は助からなかった。体に何本も釣り針を引っ掛け、糸でグルグル巻にされた状態で死んでいた。
3人の少年たちは巨鯉にしか見えなかったと証言した。青い服の少年がいつ消えたのかもハッキリしない、2階から見ていた園田もコーヒーを作りに5分ほど目を離しただけだ。その隙に池に落ちて亡くなったのだろう、少年の死は事故として片付けられた。
「絶対に祟りですよ、池の主の罰が当たったんですよ」
話し終えると園田さんは険しい顔をして付け加えた。
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