5人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
観光地でもなく登山者はもちろんハイキングにくる人もいない山だ。山林関係の業者が軽トラなどで通れるだけの最低限の整備しかしていない。
「何だ? 」
中条が顔を顰めた。道の左、中条から見て山の下方向だ。そこだけ藪がぽっかりと開けている。
「誰だクソッたれが! 」
誰も居ない山道で中条が怒鳴った。
なだらかに傾斜している山の斜面に藪を押し分けるようにしてゴミが散乱していた。不法投棄だ。コンクリ片や木材が混じっている所を見ると建築廃棄物だろう、建物を壊したときに出るゴミだ。
「何処のどいつだ! こんな事しやがってバカが…… 」
憤慨しながら山を登ってお気に入りの場所に辿り着いた。
山の持ち主が土を取ったか岩を取ったか、学校の25メートルプールの半分ほどの大きさの平地となっている。岩が転がっている所為か掘り起こして土質が違う所為か数年経っても余り草が生えていない、背の低い草ばかりなので岩や草を少し整理すれば一人用の小さなテントなら直ぐに張る事が出来る。秘密のキャンプ地と言ったところだ。
「あれなんだ…… 」
中条が顔を顰めた。
広場の向こう側、いつもテントを張っていた定位置に土砂が積もっている。
「土砂崩れかよ」
中条が近付いていくと只の土砂ではなかった。コンクリート片や木片が混じっている。
「不法投棄かよ、クソッたれが!! 」
最初のコメントを投稿しよう!