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雑音混じりのラジオを聞いていると少し落ち着いてくる。寝まいと頑張っていたのだがいつの間にか眠りに落ちていた。
「おわっ! 」
眠っていた中条が飛び起きた。テントが揺れたのだ。
「地震か? 」
上半身を起すが揺れは収まっている。
「だいぶん揺れたぞ、ラジオは? 」
ラジオを掴んで手前に持ってくる。あれ程の大きな地震なら速報が入るはずだ。
だが暫く待っても地震速報など放送されない。
「んだ? 寝惚けたのかな…… 」
不思議に思っているとまた大きく揺れた。
「うわっ! 地震だ…… 」
中条はおかしな事に気が付いた。前後もしくは左右に揺れるのでは無く、一方的に右に揺れていた。
「違う……地震じゃ無い」
誰かがテントを引っ張っている。そう思って右を見るとテントの布を掴んでいる手の形があった。
「何すんだこの野郎! 」
怖さよりも怒りが立った。
「テント壊れるだろが!! 」
怒りも露わに中条が飛び出した。
テントの近くには誰も居ない、
「出てこい! さっきの奴だろ」
先程から悪戯している奴だと怒鳴りながら辺りを見ると人影がいた。
土砂崩れの近くに立っている。
「お前か! 何考えてんだ! 」
怒鳴りながら中条が近付いていく、
『コッ……ココ……苦しい………… 』
人影がフッと消えた。
「なっ、何が…… 」
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