第一話 テント

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第一話 テント

 九州に本社を置くある商社に勤める中条さんはアウトドア派でキャンプをするのが大好きでその中でも1人で泊まる1人キャンプが趣味という少し変わった男である。  この話は中条さんが1人キャンプに行ったときに体験した話しだ。  半年ほど前、中条は久し振りにキャンプに行く事にした。このところ忙しくて4ヶ月ほど行っていなかったのだ。  場所は九州北部の山、大学生の頃からちょくちょく行っているお気に入りの場所の1つだ。キャンプ地ではない、整備などされていない山だ。  休みは土日に有休を取った月曜を加えて3日ある。土曜の朝に出て日曜の夕方までに帰り着く1泊2日のキャンプを予定しているが気分次第で月曜まで延ばして2泊3日にするつもりだ。  電車とバスを乗り継いで山の麓まで行く、途中のコンビニで昼食と翌朝用にパンなどは買ってある。夕食はインスタントラーメンなど簡単なものを作って食べる。大袈裟な料理は作らない、山で食べる事が楽しいのだ。 「やっぱ山の空気は旨いなぁ」  浮かれ気分で山道を上っていくが細い道の左右は藪が覆い、道の真ん中からは雑草が生えている。     
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