第七話「仮面王子と高飛車姫」

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第七話「仮面王子と高飛車姫」

    1  九月十九日、月曜日。  花衣はLuZの元応接室現更衣室で、一砥と付き合うことになったことを亜利紗に報告した。  口を“あ”の字に開け固まった亜利紗だったが、すぐに満面の笑みを見せ、いきなり花衣の首に抱きついた。 「やったじゃんっ。おめでと、花衣ーーー!」 「ありがとう……」  花衣も照れながら、笑顔で答えた。 「へーっ。にしても、あの堅物の社長が花衣とねー。ねえねえ、どうやって口説いたの?」 「えっ!? く、口説いてないし……」 「じゃあどっちから告ったの? まさか社長!?」  信じられない、という顔の亜利紗に、花衣は「ええと……」とたどたどしい口調で答えた。 「一色先生のお茶会の帰りに奏助さんに送ってもらったら、社長がそれを見て、デートだって勘違いして……。それで彼の後を追い掛けて、違うんですって弁解したら、あの、急に抱き締められて……」  言いながらどんどん全身の熱が上がり、花衣は真っ赤な顔を両手で隠した。 「ゴメン。これ以上は聞かないで……」 「へーーー……」  首まで赤く染めた友人を見つめ、亜利紗はニヤニヤと意味深な笑いを見せた。 「なるほど、ヤキモチ作戦かぁ。それいいね、私も今度使おうっと♪」     
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