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「作戦じゃないし……」
「分かってるよー。けど奏助さんと一緒にいるところを見て、社長の嫉妬心に火が点いたってことでしょ? いいじゃん、結果オーライで」
「確かに一砥さん、そういう事言ってたかも……」
―― 君を失いたくない。誰にも渡したくない。ずっと、俺の傍にいて欲しい。
一砥の情熱的な告白を思い出し、また花衣は一気にその体温を上げた。
「あーっ、今何か、やらしいこと思い出してたでしょーっ」
亜利紗が敏感にその変化に気づき、照れる花衣の首を細い腕でぐいと引き寄せた。
「ていうかさ、じゃあ社長と両思いになったのって、一週間以上前ってこと? なんですぐに教えてくれなかったのよー。大体先週は、花衣ってばゾンビみたいに元気なかったじゃん」
「それはえっと、話せば長くなるんだけど……」
「何よ、ここじゃ言えないこと?」
「……ごめん。私の家族の問題があって、悩んでいたのはそっちなの……」
「ふーん。なら深くは聞かないでおく」
「ごめん……」
花衣が暗い顔でうつむくと、亜利紗はニコニコしながら「いいよ。それよりさ」と話題を変えた。
「ぶっちゃけもう、やったの?」
「え……」
「社長と……H」
「!!!!」
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