第七話「仮面王子と高飛車姫」

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「作戦じゃないし……」 「分かってるよー。けど奏助さんと一緒にいるところを見て、社長の嫉妬心に火が点いたってことでしょ? いいじゃん、結果オーライで」 「確かに一砥さん、そういう事言ってたかも……」  ―― 君を失いたくない。誰にも渡したくない。ずっと、俺の傍にいて欲しい。  一砥の情熱的な告白を思い出し、また花衣は一気にその体温を上げた。 「あーっ、今何か、やらしいこと思い出してたでしょーっ」  亜利紗が敏感にその変化に気づき、照れる花衣の首を細い腕でぐいと引き寄せた。 「ていうかさ、じゃあ社長と両思いになったのって、一週間以上前ってこと? なんですぐに教えてくれなかったのよー。大体先週は、花衣ってばゾンビみたいに元気なかったじゃん」 「それはえっと、話せば長くなるんだけど……」 「何よ、ここじゃ言えないこと?」 「……ごめん。私の家族の問題があって、悩んでいたのはそっちなの……」 「ふーん。なら深くは聞かないでおく」 「ごめん……」  花衣が暗い顔でうつむくと、亜利紗はニコニコしながら「いいよ。それよりさ」と話題を変えた。 「ぶっちゃけもう、やったの?」 「え……」 「社長と……H」 「!!!!」     
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