680人が本棚に入れています
本棚に追加
直後、顔を真っ赤に染めた花衣を見て、亜利紗は「あー、そうかぁ。やっちゃったのかぁ……」と呟いた。
「わっ、私、まだ何も言ってないし!」
「言わなくても、その顔見れば分かるよ~。ねえねえ、どうだった? 痛かった? 良かった? 初めての後ってガニ股になるって聞いたけど、花衣、なってないよね? もしかして社長のアレって小さ……」
「そんなわけないからっ!!!」
部屋中に響く声で叫び、花衣は慌てて両手で口を塞いだ。
「しゃ、社長は普通だから……多分」
「へえそう?」
「うん……。ただ、すごく時間を掛けて優しくしてもらったから、あんまり痛くなかっただけ……」
「へぇ~~~」
亜利紗は意外そうに声を上げ、「あのツンドラ王子が、ベッドでは優しいのかぁ……」と呟いた。
「でも良かったね。それだけ愛されてるってことでしょ」
「うん……」
途端に嬉しそうな表情になった花衣を見て、亜利紗は「チッ。否定しないし……」とわざと拗ねて見せた。
「まあでも、花衣と社長が上手く行って、正直ホッとしたよ。だってこれで、奏助さんは失恋決定だもんね」
「えっ……」
驚く花衣に、亜利紗は綺麗な顔でニッコリと笑った。
「さすがに好きな人の好きな相手くらい分かるよー」
「亜利紗、あの……」
「いーのっ、花衣は何も言わなくて!」
最初のコメントを投稿しよう!