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笑みを引っ込めて、奏助は「だから今回のコレは、俺にとって清水の舞台から飛び降りるくらいの英断だね」と言った。
「それってつまり……」
亜利紗はさらに質問をぶつけようとしたが、それを奏助は軽いキスで止めた。
「お喋りはもうお終い。ね、動いていい?」
抱き合ったまま真面目に問われ、亜利紗は赤い顔で「いちいち聞かなくていいから……」とボヤいた。
奏助は笑顔のまま、「そう。じゃあ遠慮なく、好きにするね♪」と宣言した。
そして一旦引いた腰をまた、ぐっと深く落とす。
途端に亜利紗は「ああんっ!」と大きく喘いだ。
即座に反応する彼女が可愛くて愛しくて、奏助はさっきとは違う種類の笑顔になり、優しくその体を抱き締めた。
ゆっくりと彼が動くたびに、快感と痛みの混ざった大きなうねりが襲って来て、亜利紗は大きく喘ぎながら、夢中で奏助の体を抱き締め返した。
「奏助さん……好き……」
目に涙を滲ませて喘ぐ亜利紗を、奏助はじっと見つめた。
「亜利紗ちゃん……」
「や。亜利紗って呼んで」
「亜利紗……」
熱を帯びた視線を重ね合わせて、二人は今日幾度目かのキスをした。
それはけれど、二人が別の誰かと交わしたものとは、明らかに違っていた。
熱く潤んだ瞳で、亜利紗は奏助の顔をじっと見つめた。
奏助もそんな彼女の顔を、真っ直ぐに見つめ返した。
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