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「キア、盗ってきたぜ。本もあったぜ」
「なあに、また、考え事してるの?」
サウスホークに食料を盗りに行っていたメーナスとビビが帰ってきた。
読書好きのあたしのために本も盗ってきてくれた。
二人も組織が付けた名前じゃなく、自分でそれぞれ付けた名を使っている。
二人がいたからやっていけてる。あたしは読んでいた本を閉じた。
「サンキュー。大丈夫でよかったよ」
「実は結構、やばかった。もうあそこからは盗れねえな」
「困ったね。もうほとんど行けるとこないわよ」
最近市長が変わって、サウスホークはスラムに対する取り締まりを厳しくしていた。
二人が盗ってきた食料は、もって三日分。盗れないとなると、現金で買うしかなくなる。
現金を得るには、詐欺をやるか、スリをやるか、恐喝するか、殺して奪うか、男に体を売るしかない。
詐欺もスリも恐喝もとりわけ殺しも、顔がわれる可能性が高いし、見回りと防犯グッズの充実で、やりにくくなっている。
となると、体を売るしかなくなる。
サウスホークは、スラムの住人を考慮して、売春には甘いのだ。それで収入源を確保させていると言う、反吐が出る町だ。
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