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「明日天気になあれ」って知ってる?靴を片方投げて明日の天気を占うの。子供の頃一度はやったことがあるよね。でももし靴の裏が上になったらすぐに家に帰った方がいい。そしてその日のうちに眠るんだよ。サカサマさんがやってくるから。
「っていう都市伝説が今流行ってるんだって」
「だから都市伝説だろ」
「でも最近ここらへん多いじゃん、不審死」
「偶然だろ。年寄り多いしさ」
高校からの帰り道、そんな話を聞いた。この歳になって都市伝説なんて馬鹿げてる。てか今時小学生でも流行らねえっつーの。
「サカサマさんは雨が好きなんだ。だから靴の裏が上を向くと嬉しくてその日の夜にやってくる。そして十二時までに寝ないと死ぬ」
「子供を寝かせるために親が作った話だろ」
「でも隣のクラスの奴がそれ体験したって」
「どんな?」
そいつはサカサマさんの話を聞いて靴を投げたらしい。靴は裏を向いて落ちた。だからその日は十二時までに寝た。すると夢を見た。学校の屋上に立っている。体が動かない。視線だけ横に向けるとクラスメイトがいた。サカサマさんの正体を暴くって息巻いていた奴だった。自分の意思で動かない体が、足だけ前に出ていく。目の前は屋上の端。このままじゃ落ちて死んでしまう。と思った瞬間体は落下した。どんどん地面が迫ってくる。もうだめだと思って目を瞑る。土の感触。気がつくとベッドの上にいて朝になっていた。なんだ、やっぱりただの都市伝説か。くだらないと思いつつホッとしながら登校すると、クラスメイトのあいつはいなかった。ホームルームで担任から聞かされたのは、そいつは今朝亡くなっているのを発見された、という話だけだった。
「な、やべーだろ」
「でもそいつ、自殺だったって聞いたけど」
「それがさ、仲良かった友達が葬式に参列した時聞いたらしいんだ。そいつは確かに自殺に見えた。でも、首じゃなくて足首を吊ってたって」
「は? なんだそれ」
「おかしいだろ。普通自殺なら首だろ。どうやって自分の足首吊るんだよ。無理だろ」
「じゃあ他殺?」
「いや、警察は自殺として処理したらしい。でもサカサマさんの話には続きがあるんだ」
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