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第2話
共に過ごしていた頃、小さな紙を折り、それを重ね合わせていろんなものを作っているという話をしてくれた。
そして、家の方に頼んで作ったものを持ってきてもらい、そのひとつを私にくれた。
私もコツコツと紙を折り、おばあちゃんに教えてもらって同じものを作った。
おばあちゃんのように上手くはできず、形はいびつだったが、完成したものを見せると、「できたできた!」と、おばあちゃんは肩をたたいて一緒に喜んでくれた。
作ったものをあげるから、退院して帰る前に自分の家に寄ればいいと、おばあちゃんはよく言っていた。
「トンネルを抜けたら信号があるけぇ、そこを右に曲がりゃあ右側に家があるけぇ。」と、何度も聞いた道。
少し悩んだけれど、やっぱり最後にもう一度会いたくて、退院の前日、おばあちゃんの家に行った。
言われたとおりに走ると、そこにはおばあちゃんの家があった。
玄関の横の部屋。
網戸越しにおばあちゃんの姿をみつけ、声をかけた。
おばあちゃんは、「よう来てくれたなぁ。」と言って、玄関から出てきてくれた。
そして、別の部屋から古い段ボールに入れた毛糸の動物を出してきて、私にくれた。
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