おうちデート

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おうちデート

 桜の花がすっかり散って、真新しい緑の葉が眩しい春の終わり。空気が湿ってきた夕方だった。  休日の堂本大輔(どうもとだいすけ)は、同僚で先輩で恋人の――小野寺晃司(おのでらこうじ)のアパートにいた。 「晃司さん、卵の賞味期限切れてますよ。食べちゃいます?」  2DKのアパートの狭いキッチンでは、晃司がガスコンロでフライパンを振り、大輔が冷蔵庫を覗いていた。 「あー、そうだな。目玉焼きにして焼きそばに乗っけるか」 「はーい。ちょうど二個だから、一つずつ乗せられますね」  三十路男の一人暮らしらしい、小さめの冷蔵庫から賞味期限切れの卵を二つ取り出し、晃司の隣に立ってフライパンを覗く。焼きそばが出来上がったところだった。 「目玉焼き、そのままそのフライパンで焼いちゃいますよね?」 「おう。焼きそばよそるから皿取ってくれ」  晃司の家にフライパンは一つしかない。目玉焼きを作るにはそのフライパンが必要だが、一度洗ってから使うような丁寧なことは、男二人ではする気にならなかった。     
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