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そこでまた晃司の歯切れが悪くなる。大輔はイラッとして、なんですか、と強めに迫った。
「あのな、これは俺の……単純な興味、いやそんな大したもんじゃない。ただの野次馬っつうか……スケベな好奇心で」
「もぉ~、だからなんなんですか?」
「悪い。お前がイヤなら答えなくていいんだって言いたくて……」
「俺が、答えづらいことなんですか? ……答えたくなかったら答えないから、言ってください」
気になって続きを急かすと、晃司は腹を決めたように真面目な顔で大輔を見つめた。
「じゃあ……イヤだったら、そう言えよ」
「わかりましたってば」
「……大輔って、女に……興味あんの?」
晃司は真剣だった。唐突な質問に、大輔が固まる。
「あっ、わりぃ。やっぱ、ウザかったよな。ごめんごめん、お前が俺を好きだってことはわかってるから、本気で知りたいわけじゃないんだ。ちょっとな、どうなのかなって思っただけで」
「別に……晃司さんが謝ることじゃないですけど……」
晃司はしきりに申し訳なさそうにしているが、大輔は傷ついたわけでも失礼だと怒ったりもしていなかった。考えないようにしてきたことを、改めて突きつけられて戸惑っているだけだ。
大輔は顎の下に手を当て、考え込んだ。
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