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「大輔、ナシ。今のはナシ。性的指向とか、チョー個人的なことだよな。無神経なこと聞いて悪かった」
「謝らないでください。俺……自分でもずっと、よくわかんなくて。てゆうか、性欲とか……いやらしい気持ちを、誰か人に向けることにずっと罪悪感があって……」
だから女も男も性欲の対象にしないよう、目を逸らし続けた。晃司と会うまでは――。
大輔は晃司をジッと見つめた。探るような、なにかの答えを欲するような大輔の視線に、晃司が困惑する。
「お前を傷つけてないならいいんだけど……じゃあ、また訊いてもいいか?」
大輔は大きく頷いた。
「大輔も、たまにはエロ動画とか見るんだろ?」
「……はい。ごくたまに、その……Hな気分に負けてネットで検索しちゃうこともあります」
大真面目でそう答えると、晃司が優しく微笑んだ。
「俺なんか、毎晩負けっぱなしだけどな。でも、それは悪いことじゃないだろ? 誰でもしてることだ。そんで、誰かを傷つけることでもない」
晃司は、大輔の複雑で面倒な気持ちを、優しく汲み取ってくれた。大輔は晃司の優しさにいつも救われる。
「お前が怒ってないみたいだから訊いちゃうけど……お前はどんなエロ動画見てんの? 普通に、男女のAVか?」
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