おうちデート

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 大輔がこれもまた小さめの食器棚から大皿を二つ取り出し、ガスコンロの隣の調理台に置く。晃司がその皿に焼きそばをよそると、二人してどっちが多いとか少ないとか文句を言い合って笑った。二人とも、少しでも多い方が欲しいのだ。  大輔が、俺の方が若いんだから、と言えば、晃司は、年上を敬え、と言い返した。そして、顔を見合わせて笑う。  大輔がS県警荒間署生活安全課保安係に配属され、一年が経った。そして、晃司と恋人同士になってからも、およそ一年だ。  交際期間が一年を経ても、二人は相変わらず仲が良く――ラブラブだった。休日のほとんどを晃司のアパートで過ごし、大輔は晃司の部屋でも自分の家と同じぐらいくつろいでいる。  晃司の家の食器棚は、揃いの食器が増え、晃司のクローゼットには大輔の部屋着や、泊まった翌日にそのまま出勤できるよう、スーツやワイシャツも置いてある。洗面所には大輔の歯ブラシがあり、シェーバーも大輔のものが晃司のものと並んであった。  自分の物が晃司の部屋に増えていくたび、大輔は小さくない喜びを感じた。晃司の部屋が自分の居場所であるということが、嬉しくてたまらなかった。 「しょーがねぇな、目玉焼きはデッカイ方を大輔にやるよ」  晃司好みの半熟目玉焼きが焼き上がり、わずかに大きい方が大輔の焼きそばの皿に乗せられた。     
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