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「なんでいつも晃司さんの方が多く食べるんですかぁ? そろそろ体重とか、メタボとか気にした方がいい年なのに。あ、餃子も開けますね」
文句を言いながら、駅前のチェーン店の中華料理屋で買った餃子の箱を開ける。焼きそばと買ってきた餃子、それにカット野菜を盛った簡単なサラダが、今夜の二人の夕食だ。缶ビールも一本ずつ添えて。
以前は晃司の家に泊まる時は外食が多かったが、最近は簡単な自炊で晃司の部屋で済ますことも多い。晃司のアパートの最寄り駅は飲食店もスーパーも揃っているが、飲食店は大体行きつくしてしまい、それなら自宅でゆっくり食事する方がよいと二人とも思うようになっていた。
休日の夕食を恋人の自宅ですますことは、デートと思えば物足りない人もいるかもしれないが、大輔には十分満足だった。いや、満足どころか幸せを感じた。
「餃子は偶数だから喧嘩にならないな」
フライパンを洗いながら、晃司が子供のようなことを言う。
こんな他愛もない時間を過ごせることが、大輔にはたまらない喜びだった。気取ったデートより、大好きな人となんでもない時間を笑顔で過ごせる方が、大輔には合っているし好きだった。
「いただきます」
小さなダイニングテーブルに向かい合って座り、手を合わせるタイミングまで揃った。それにまた二人で小さく笑って、質素なディナーが始まった。
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