おうちデート

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「二十七にもなるんなら、そろそろ落ち着けって上の奴らは考えるんだよ。警官がいつまでも独り身だとろくなことしないって考えの年寄りも多いしな。それに大輔は……うちの課の期待の星、だし」 「俺が……ですか?」  大輔は首を傾げた。まだ生安課二年目の新人刑事であるし、仕事の出来では晃司や女性警官の桂奈の足元にも及ばない。 「晃司さんの方が、ずっと仕事できるじゃないですか。桂奈さんだって……」 「俺は年を食い過ぎだし、桂奈は……女だからな」  大輔は納得できず、形のよい眉をギュッと寄せた。そんな顔をする大輔も、苦笑する晃司も――大輔の一つ先輩の一太のことはすっかり失念していた。 「去年の映画デビューとか、お前はなにかと上の目を引くんだよ。その見た目も、課長を心配させるんだろ。恋人もいないで俺と遊び歩いてたら、悪い女に引っかかるんじゃないかって気が気じゃないんだろうな。だから近いうちに……ちょうどいい婦警がいるぞ、なんて話が持ち上がるぞ」 「えぇ……チョー余計なお世話、なんですけど。俺、結婚なんて……それに……」  世間話のついでのように、自分の結婚話を持ち出す晃司が、段々憎たらしくなってきた。大輔は晃司以外の誰か、などもう考えられないのに――。  大輔の恨めしげな視線に、晃司が嬉しそうにニヤつく。     
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