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仕事のことや、先週一緒に楽しんだテニスの話をしながら、大輔の楽しい食事は続いた。思っていたより腹が膨れたと、晃司が大輔に餃子を一つ寄こし、大輔が喜んでそれを頬張っていると、晃司が、なぁ、と妙にしおらしい声を出した。
「……さっきの話だけどさ……あ、大輔が課長になに言われても断るってのはわかったけど……」
餃子が口の中にあるので、咀嚼しながら目だけで、それで? と訊く。
しかし晃司は、なにが言いにくいのか訊きにくいのか、あーと唸って、結局黙ってしまった。
「わり。まぁ……いいや」
「なんですか? 気になるんだけど」
「大したことじゃないんだ。……早く食って、一太に借りたDVD見ちゃおうぜ」
今日は、海外ドラマ好きな一太からおすすめのアクションドラマを借りていた。シーズン1の途中までを先週晃司と見たので、続きが気になるのは大輔も一緒だった。
なにか腑に落ちないものを感じながらも、大輔は晃司に同意し、残りの焼きそばを少し急いで平らげた。
◇◇◇◇◇
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